子供から大人へのメッセージ

globe基金原点

こどもから大人へのメッセージ

お話させて頂くこととても光栄です。 私たち子どもは自然と密接な関係を失っていません。
 おたまじゃくしや花や昆虫などを愛しています。
 そして人間が自然の一部であることがよく分かります。 
「価値の転換はどうすればいいか」と一生懸命に取り組んでいる大人たちを見ていると、 
複雑なことを考えすぎて簡単なことを忘れてしまっているように思うのです。 
価値の転換の秘密は、子どもの頃を思い出すことです。
 あなた方の中の子どもの心は、一番大切な価値や本質を知っています。 
それなのにあなた方の興味は株や出世やお金儲けのことばかりです。
 あなた方は「子どものとき自然はいつもそばにあった」 という思い出をもつ最後の世代になってしまうのではないでしょうか。

 私は21世紀に21歳になります。 

あなた方の残した地球で生きることになるのです。
 私たちが生きることのできる地球を残すためには、 大きな変革が早急に実現する必要があります。 本当にそれをしてもらえるでしょうか。 もしあなた方がやらなければ、いったい誰がするのでしょうか。 私は子ども環境機構(ECHO)で自然の保護活動をしていますが、 いつも「経済が第一だ」という論争に巻き込まれます。
 でもきれいな空気、水、土がなければどうやって生きていけるというのでしょう。 大人は子どもの見本なのです。 大人はよく言います。「子どもは大人の望み、世界を救うでしょう」と。 それは言い訳です。

 あなたがモデルなのに、子どもが違う行動をとれるでしょうか。

 いつも言っているではないですか。 「けんかをしてはいけない、生き物を傷つけてはいけない、 分け合いなさい、欲張ってはいけない」と。
 でもあなた方はいけないことをしているではないですか。
 将来を失うということはとても恐ろしいことです。 お金がなくなったり株が下がったりすることとは比較になりません。
 私はたくさんの動物、鳥や昆虫をみることができましたが、 果たして私の子どもはそれらを見ることができるでしょうか。
 あなた方は子どものとき、こんな心配をしたことがありましたか。 
すべてはあなた方の時代からおこり始めています。
 そして「まだ十分時間と答がある」ように振る舞っています。 でもオゾンホールの修復の仕方を知らないでしょう。 死んでしまった川に鮭を呼び戻せないでしょう。 絶滅した動物たちを生き返らせられないでしょう。 砂漠になった森を元に戻せないでしょう。 それができないのならせめて、もうこれ以上壊すのはやめて下さい。 ブラジル地球サミットのとき、 リオで道に住んでいる子どもを見てショックを受けました。
 その一人が私に「もし僕が金持ちだったら、みんなに食べ物や服や小屋をあげるのに…」と言いました。 必要なものをすべて持っているあなた方がなぜほしがるのでしょうか。 あなた方は私たちのモデルです。 私たちはあなた方のようになろうとしているのです。
 どうかお手本を見せて下さい。

 勇気を失わないで下さい。

 どうして変化を恐れるのですか。

 あなた方は何を遺産として私たちに残してくれるのですか。
 世界中の子どもたち、未来の人たち、動物、植物を代表して尋ねます。 

「あなた方が待っているのはいったい何ですか」 ありがとうございました。


グローバルフォーラム京都会議(1993年)閉会の辞より 
「子どもから大人へのメッセージ」 セブリン鈴木(当時13歳) 
子ども環境機構(ECHO)創設者